生物科学研究所研究報告
2024 年 2 月 20 日
辰野町からホタルを移入した大月ホタルの里(新潟県南魚沼市)
井口豊(生物科学研究所)
かつて,新潟県南魚沼市に,大月ホタルの里
というホタル養殖地があった(平成 30 年度で閉鎖)。
ここでは,辰野町から移入されたホタルを養殖していた。過去のウェブページで,大月ホタルの里の説明を読むと,長野県辰野町から譲り受けたホタルだと分かる。
正確に言えば,辰野のどこのホタルを持って行ったか分からない。しかし,いずれにしろ,大月ホタルの里には外来種ホタルが存在することになる。
もし松尾峡から移出したゲンジボタルならば,辰野町役場は,関西系統の外来種ゲンジボタルを南魚沼市まで意図的に拡散させたことになり,生物多様性の損失を他県まで広げていることになる。
Yahoo!知恵袋で,「今後も移入することはない」と述べていた辰野町のホタルガイドがいたが,養殖した外来種ホタルを県外に移出していたら,移入よりも,さらに不適切な行為とも言える。
なお,南魚沼市女子力観光プロモーションチームから頂いたメールに依れば,「大月ホタルの里では,辰野町のように外来種ホタルであることを隠して入場料を徴収するような観光政策は行なっていない」,とのことである。
参考文献
井口豊 (2015)
ほたるの町 辰野(長野県)でのほたる育成の取組み -- ほたるによる町おこしと生態系保護の課題 --
滋賀県守山市ほたるの森資料館 2015 年度 第 1 回環境学習会. 2015 年 10 月 10 日. DOI: 10.5281/zenodo.10676960
井口豊 (2009)
移入ホタルの何が問題か?辰野町松尾峡を例として
第5回信州ホタル保護連絡会,長野県男女共同参画センター(長野県岡谷市). 2009 年 8 月 23 日. DOI: 10.13140/RG.2.2.19664.07689