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生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
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標準回帰係数と相関係数

井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新:2024 年 3 月 29 日

ここでは,単回帰式における標準回帰係数(直線の傾き)は,相関係数(Pearson 相関係数)と同値であることを示す。

まず,別のウェブページ回帰と相関の 3 章 最小二乗法の理論的計算の式 (4) に書いたように,回帰直線は, x, y の重心,すなわち,平均点 (, )を通るので,以下のように表現できる。。

\begin{eqnarray} y-\bar{y}=\frac{\sum\limits_{i=1}^n (x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})}{\sum\limits_{i=1}^n (x_i-\bar{x})^2}(x-\bar{x}) \end{eqnarray}

これは共分散 σxy と標準偏差 σx, σy を使うと,以下のような簡潔な表現になる。

\begin{eqnarray} y-\bar{y}=\frac{\sigma_{xy}}{\sigma_{x}\sigma_{x}}(x-\bar{x}) \end{eqnarray}

さらに,両辺を σy で割る。

\begin{eqnarray} \frac{y-\bar{y}}{\sigma_{y}}=\frac{\sigma_{xy}}{\sigma_{x}\sigma_{x}}\frac{x-\bar{x}}{\sigma_{y}} \end{eqnarray}

右辺分母の標準偏差を並び替える。

\begin{eqnarray} \frac{y-\bar{y}}{\sigma_{y}}=\frac{\sigma_{xy}}{\sigma_{x}\sigma_{y}}\frac{x-\bar{x}}{\sigma_{x}} \end{eqnarray}

これは, x, y を標準化した回帰式を表す。さらに,その回帰係数は,前述のウェブページの 4 章 回帰係数と相関係数の違いの式 (7) に書いたように,相関係数 r そのものである。標準化した x, yX, Y とすると,以下のように簡潔に表せる。

\begin{eqnarray} Y=r X \end{eqnarray}

したがって,単回帰式における標準回帰係数(直線の傾き)は,相関係数(Pearson 相関係数)そのものである。

統計ソフト R を用いて,乱数を代入して,標準回帰係数と相関係数を計算してみると実感できる。


n<- sample(5:100)

x<- rnorm(n)
y<- rnorm(n)

# 標準回帰係数
lm(scale(y) ~ scale(x))$coef[2]

# Pearson 相関係数
cor(x, y)

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