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生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
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生物科学研究所研究報告

統計解析を用いた信頼性の評価1. 医工学治療 30,倉持龍彦ほか(2018)

井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新:2022 年 8 月 30 日

倉持龍彦・對馬栄輝・下井俊典・井口豊・宮田賢宏・大塚紹・大友学・若狭伸尚・村野勇・米津太志・角田恒和(2018)
統計解析を用いた信頼性の評価 1
医工学治療 30 (2): 73-77.

倉持龍彦ほか(2018)の別刷

土浦協同病院の倉持龍彦さんから,待望の論文別刷りが届いた。倉持さんだからこそできた労作であり,しかも,その第一弾である。

その内容は,まず「信頼性」とは何か,なぜその概念が必要なのかを詳しく解説している。

信頼性解析の場合,「何回同じ結果が得られるか」(安定性, stability)という場合と,「同じ傾向の結果が得られるか」(一貫性, consistency)という場合があり,さらに,安定性には,「同じ対象で同じ結果が得られるか」(反復性, repeatability)と「異なる対象で同じ結果が得られるか」(再現性, reproducibility)があることを述べている(p. 74)。

次に,連続変数に対する評価として,級内相関係数 ICC と Lin の一致相関係数 CCC を解説し,名義・順序変数に対して,κ(カッパ)係数と Kendall の一致係数 KCC を解説している。この4項目だけで,じつに,3ページ半にも及ぶ入念な解説である。

各項目とも,数式の解説も適切にされていて,CCC では, Pearson 積率相関係数 PCC との関係をグラフも用いて説明し,κ係数では,Cohen と Fleiss をきちんと区別して説明している。また,KCC では,Friedman χr2 や Spearman 順位相関係数との関係を詳述している。

その上で,信頼性評価としてしばしば使われる,相関,回帰,対応ある t 検定は,適切ではないことも指摘した。

本論文で使われた指標の算出にあたり,統計ソフト R,特に,改変Rコマンダーの利用を想定している。

これまで,これだけまとまって,かつ,適切に解説された論文は皆無だった。その意味で,医療関係者だけでなく,心理や教育などの関係者にも是非読んでもらいたい教科書的な論文に仕上がっている。

私も協力でき,かつ,共著になることができ,光栄である。

本論文は,以下の論文に引用されている。

川上裕貴・瀧原純・石橋修・村野勇・倉持龍彦・橋本貴幸(2019)
超音波画像診断装置を用いた大腿直筋と中間広筋の筋厚 および筋輝度評価の信頼性
日本基礎理学療法学雑誌 22(1): 48-53.

高野真史・倉持龍彦・久松学・細川正浩・蜂谷仁(2020)
クライオバルーンアブレーションにおける V1 電極を用いた複合筋活動電位の検討
心電図 40(4): 217-227.

吉澤光崇(2022)
汎用計測器による高周波ラジオ波メス出力測定法の実用性の検討
医工学治療 34(2): 78-85.

これらの論文は,信頼性分析の実際の適用例としても,模範的な好著である。

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信頼性評価の手法に関しては,その後,第二弾も完成した。

統計解析を用いた信頼性の評価 2. 医工学治療 30,倉持龍彦ほか(2018)

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