
生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
一般線形モデルとしての 1 群分散分析
井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新:2025 年 3 月 28 日
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分散分析と t 検定で 1 群の場合: 一般線形モデルの観点から
DOI: 10.5281/zenodo.15098339
1. はじめに
Student t 検定と分散分析の関係を論じたページ,対応ある t 検定は 1 群検定,分散分析は 2 群以上の検定,それをさらに拡張し,一般線形モデル(General Linear Model)として 1 群(サンプル数 1)分散分析を考える。
2. 1 群 t 検定と 1 群分散分析
理屈を述べるより,統計ソフト R を使って,仮想データで, 1 群(1 標本)の t 検定と一般線形モデルとしての分散分析を比べてみる。ここでは, car パッケージ の Anova 関数を利用する。
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# 仮想データ
set.seed(1)
x <- rnorm(10)
# 1 群 t 検定
t.test(x)
# 一般線形モデルとしての分散分析
library(car)
Anova(lm(x ~ 1))
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結果は以下のとおり。
t 検定の結果: t = 0.53557, df = 9, p-value = 0.6052 分散分析の結果: F = 0.2868, df = 1, 9, p-value = 0.6052
両者は,全く同じ結果だと分かる。
分散分析の場合,自由度 n の t 分布に従う統計量 t の 2 乗は,自由度(1, n)の F 分布に従う,という統計学上の定理を実感できる。
R スクリプト lm(x ~ 1) を見ると分かるとおり, 1 群の t 検定や分散分析は,回帰分析の定数項の検定と同等であることもわかる。