生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
一般線形モデルとしての 1 群分散分析
井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新:2021年1月29日
1. はじめに
t 検定と分散分析の関係を論じたページ,対応ある t 検定は 1 群検定,分散分析は 2 群以上の検定,それをさらに拡張し,一般線形モデル(General Linear Model)として 1 群(サンプル数 1)分散分析を考える。
2. 1 群 t 検定と 1 群分散分析
理屈を述べるより, R を使って,仮想データで, 1 群(1 標本)の t 検定と一般線形モデルとしての分散分析を比べてみる。いかにも,もっともらしく,パッケージ car の Anova 関数を利用する。
############# # 仮想データ set.seed(1) x <- rnorm(10) # 1 群 t 検定 t.test(x) # 一般線形モデルとしての分散分析 library(car) Anova(lm(x ~ 1)) #################
t 検定の結果:
t = 0.53557, df = 9, p-value = 0.6052
分散分析の結果:
F = 0.2868, df = 1, 9, p-value = 0.6052
両者は,全く同じ結果だと分かる。
分散分析の場合, F 値が,
F (1, t 検定自由度)
となり, t 値の 2 乗に等しくなり,自由度 n の t 分布に従う統計量 t の 2 乗は,自由度(1, n)の F 分布に従う,という統計学上の定理を実感できる。
R スクリプト lm(x ~ 1) を見ると分かるとおり, 1 群の t 検定や分散分析は,回帰分析の定数項の検定と同等であることもわかる。