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生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
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生物科学研究所研究報告

興味深い心理学卒業論文:思春期の睡眠と大学生の自尊感情について

玉川大学教育学部
平成 29 年度卒業研究論文
指導担当 高平小百合教授
思春期の睡眠と大学生の自尊感情について 教育学部教育学科
小泉 緑

玉川大学教育学部教育学科の小泉緑さんの卒論である。 SPSS を用いた統計データ解析について私が指導したので,末尾に謝辞を頂き,私自身も嬉しい。

大学生を対象にして,中学時代と現在の睡眠状況が,現在の自尊感情と社会的スキルにどのように影響しているかを分析したものである。

3 種類の尺度が使われた。

睡眠の質 Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)
社会的スキル Kiss-18
自尊感情 Rosenberg scale

小泉さんからデータを渡されたとき,これらの尺度について私も知っていたので,非常に興味を覚えた。特に, Rosenberg 尺度は,日本でも非常に多くの研究で使われている。ただし,社会的スキルは有意な違いが出ないのではないか,という予感がした。

因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,社会的スキルについては,4個の因子(感情抑制,高度なコミュニケーション,初歩的なコミュニケーション,計画)を抽出し,自尊感情については2個の因子(自尊心,自己拒否)を抽出した。

社会的スキルについては,やはり,いずれの因子も睡眠障害とは有意な関連を認めなかった。一方で,自尊感情尺度の自己拒否因子には,睡眠障害と有意な関連が認められた。睡眠障害があると,自己拒否の傾向が強くなるのである。しかも,中学時代には睡眠障害が無く,大学生になってからそれが現れると,自己拒否感が強くなるのである。なお,多重比較では, Ryan-Einot-Gabriel-Welsch 検定が用いられた。

小泉さんのデータが見事に活用され,苦労が報われた研究結果と言えよう。

平成29年度に,私が卒論の統計データ解析を指導した二人は,偶然にも心理学分野だった。もう一つの卒論は,次のページ参照。

興味深い放送大学 心理学卒論:火が都市生活者の心身の状態に与える影響について

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