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生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
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長野県箕輪町 中曽根の権現桜と伊那断層

井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新:2024 年 5 月 1 日

1. 中曽根のエドヒガン

2011 年 4 月 29 日に撮影した,長野県の伊那谷,箕輪町にある中曽根の権現桜エドヒガン Prunus pendula f. ascendens)である。満開を過ぎて,散り始めとなっている。

中曽根のエドヒガン

図 1. 中曽根のエドヒガン(長野県箕輪町)

このサクラは樹齢約 1000 年と推定され,長野県内でも,1,2を争う巨木・名木であり,中曽根のエドヒガンとして,県天然記念物に指定されている。

本種の特徴に関しては,国立科学博物館 植物研究部編 エドヒガン の解説を参照できる。このサクラを含む,長野県内の巨木の特徴に関しては,宇野・只木(1991)が参考になる。

2. 伊那断層

このサクラがある場所は,およそ 2 ~ 5 万年前に形成された段丘面上にあり(阿部・池田,1987),その西方(前述の写真の後方)が木曽山脈,いわゆる中央アルプスである。写真では少し見づらいかもしれないが,その山並みが後方に透けて見える。

中曽根のエドヒガンの西,およそ 1.5 km,木曽山脈の山麓を北北東-南南西に伸びる活断層が,伊那断層である(阿部・池田,1987)。地震調査研究推進本部によって,伊那谷断層帯として紹介されている活断層帯の北部に相当する(活断層位置図)。

次の図 2 の地形図は,中曽根のエドヒガンの位置(+印)を中心にして,活断層図(赤線)を重ね合わせてある。

図 2. 長野県箕輪町 中曽根のエドヒガン周辺図.国土地理院 電子国土 Web システムで,標準地図に活断層図(赤線)を重ねてある.

中曽根のエドヒガンの西方(図の左側)では,標高 900 m から 950 m 付近が,山地の斜面と段丘の平坦面の境界になっており,その付近を伊那断層(赤線)が北北東-南南西に伸びていることが分かる。

次の図 3 は, Google Map による航空写真である。伊那断層が通る,山地斜面と段丘平坦面の境界が,ほぼ直線的に北北東-南南西に伸びていることが実感できる。

図 3. 長野県箕輪町 中曽根のエドヒガン周辺図.Google Map 航空写真.

この付近にはキツネ(ホンドギツネ Vulpes vulpes japonicaも頻繁に出没し,道路を横断するので,特に夜間の自動車運転には注意が必要だ。

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参考文献

阿部一・池田安隆 (1987) 伊那盆地北部における活断層のネットスリップ速度.地理学評論 60 A: 667-681.

宇野倫太郎・只木良也 (1991) 信州の巨樹・名木 : その活力評価. 信州大学理学部紀要 25(2): 65-77.

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