生物科学研究所 井口研究室
Laboratory of Biology, Okaya, Nagano, Japan
カッパ係数とケンドールの一致係数の比較
井口豊(生物科学研究所,長野県岡谷市)
最終更新: 2023 年 11 月 15 日
1. はじめに
一致度,あるいは,信頼性の評価指標として使われるカッパ係数(Kappa coefficient)とケンドール一致係数(Kendall's Coefficient of Concordance, KCC)の対応関係を調べた。なお,ここで言うカッパ係数は,いわゆるコーエンのカッパ(Cohen's Kappa)である。
評価者 2 人が,ある対象に Yes, No で答えた度数のクロス集計表(表 1)を仮定する。
統計ソフト R を用いて, 1000 回のシミュレーション計算で,各セルに 0 から 50 の一様整数乱数を入力した。カッパ係数とケンドールの一致係数それぞれの算出にパッケージ irr と DescTools が使われた。
2. 計算スクリプト
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library(DescTools)
library(irr)
res<- replicate(1000, {
n<- sample(0:50, 4, replace = TRUE)
dat<- data.frame(
A = rep(
c(0, 0, 1, 1), c(n[1], n[2], n[3], n[4]),
),
B = rep(
c(0, 1, 0, 1), c(n[1], n[2], n[3], n[4])
)
)
kw<- KendallW(dat, TRUE, test=TRUE)$estimate
kappa<- kappa2(dat)$value
c(kw, kappa)
})
ken<- res[1, ]
kap<- res[2, ]
plot(
ken, kap,
xlab = "Kendall's W",
ylab = "Kappa",
xlim = c(0, 1), ylim = c(-1, 1),
asp = 1
)
lines(
x = c(0, 0.5, 0.5),
y = c(0, 0, -1),
col = "red",
lw = 2
)
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結果は,次の図 1 のとおりである。
図 1. カッパ係数とケンドールの一致係数の対応関係
両者は直線に近い対応関係であり,特に,カッパ係数が 0 以上の場合にバラツキが小さい直線関係になる。
注意すべき点は,カッパ係数 0 が,ケンドールの一致係数 0.5 に相当することである。